【読んだ本の感想文】ぬるい毒 本谷有希子 ・ 何かに没頭したい・
読んでよかった?本シリーズ。
イヤ、コレハ読んだ感想シリーズです。
【本谷有希子 ぬるい毒】
題名と、本の厚みの薄さに惹かれて購入したこの本。
主人公の女の子(熊田さん 19歳)がある日、名前に覚えのない同級生(向伊・むかい)と名乗る男から、高校生の時に借りたお金を返したいと妙な電話を受けたことから始まるストーリー。
迷った末、実際に男に会うが、やはり見覚えがない。
しかし、その男(向伊)は妙な魅力があり、何だかんだありながらも、2人は関係を持ってしまう。
しかし、その男は本当に好きで付き合っているのではなく、熊田さんの家のお金が目当てだったりただのゲーム感覚で付き合っているよう。
(しかも、他に彼女がいて、言い訳をしては、なかなか別れようとしない。)
主人公の熊田さんは、そのことに気付いていながらも、いつか向伊を痛い目に合わせるために、向伊の都合のいい女を演じ続ける。
そんな感じで物語が展開していきます。
この本は、厚みが薄いこともあり、読みやすかったのですが、湿度の高い夏の夜のように、静かな不快が続きます。
感情的な起伏はそんなにないのですが、とにかくジメジメと不快が最後まで継続します…。
主人公の女の子は多分、学生のとき、地味な子だったのですが、学校を卒業後に、見た目を磨いたりして、そこそこキレイになったよう。
しかし、居酒屋に呼び出した向伊とその友達2人はその姿に、嫌味のように、やたらとキレイだ!才能がすごい。芸能界が放っておかないだの、大袈裟に煽てます。
その度に、彼女はバカにされている状況に気が付き傷付きながらも平然を装い耐えます。
そんな状況が何度か出てくるのですが、これがかなり私の中でリアルで、心を地味にエグられました…(-。-;
しんどい中読み進められたのは、最後の復讐がどんなものか気になっていたからです。
しかーし。
それなのに、結末は「え…?」みたいな終わり方でした。
それはあっけなく、そしてカタチにならずに終了…
こうゆうのもアリだな、とわかっていても、私の中で不完全燃焼でモヤモヤする結末でした。
チーン…
人それぞれ好みがあるので仕方ないですね…
しかし、読み進める中で、この話の妙なリアルさに、これは作者さんの体験談なんじゃないのか?と思うことが多々ありました。
もし、これがノンフィクションだったららかなりツライ恋です…
そんな感想も抱きました。
ひとつ、いいなと思ったのが、本の内容とタイトルがベストマッチしているな、と思ったことです。
読み終えて、確かにぬるい毒だわ…と思いました。
そう…。
ぬるすぎて、向伊には毒が効いてないのです。笑
あー残念だわ♡
まぁでも、作者さんが大変な思いをして創り上げている本なので、ケチばかりは付けられないのです。
昔、私も小説もどきを趣味で書いていた時期があったのですが、最後まで書き終えずに挫折…
とても大変な作業だったのを覚えています。
けれど、そのおかげもあって、作文がダメダメだった私の、文章力が少し磨かれたので、とてもいい趣味を持てたなぁと思ってます。
年を取ってきて、何かをするにも、若い頃にくらべて億劫になってきているので、あの頃のように打ち込める何かが欲しいと心底思います。
若いって素晴らしい。
もちろん、年を重ねて磨かれるものもたくさんありますが。
とにかく!
集中しすぎて、時間や食事を忘れるくらい何かに没頭したい今日この頃。