最近読んだ小説*藤堂志津子さん「かけそき音の」
今日は、私の大好きな作家さん、藤堂志津子さんの本を紹介してみます。
まず題名の《かけそき》
調べてみました。
あまり載っていませんでしたが、「微かな」「幽かな」という意味のようです。
かすかな音の…
いろいろな意味を込める事のできる題名ですね。
こういうの好きです。
藤堂志津子さんの小説に出逢ったのは、今から約2年前、シャントの手術で入院中のときでした。
初めて読んだ作品「ある女のプロフィール」は主人公(亡くなった女性、多絵子29歳)と付き合ってきた人や関係を持った人たち数名とのエピソードを短編作にし、それらがひとつの作品になるように綴られたものです。
それぞれの男性とのエピソードでは、亡くなった女性が皆、印象や性格が違い、一体どの彼女が本当の彼女なのか?というのを考えさせられるお話となっております。
(かなりざっくりな説明です)
まず私が感じた印象は、すごく文章が読みやすい!
テンポよく。かつ情景も浮かびながら詰まらずにスラスラ読める本だな、と感じました。
そして文章が美しさや色気を纏っていて、人の心の深い部分に何かがそっと触れるようななんとも言えない切なさや寂しさがあります。
今回読んだ小説も短編小説となっていて、「かけそき音の」「合鍵」
「贅沢な部屋」「悪の華」「みどりの瞳」「絹の夜」「冷たい雨」「羽田発18時」の8つの物語が描かれています。
この中で印象的だったのが「悪の華」「羽田発18時」
・悪の華
主人公悦子が学生時代からの親友緋紗子により知らず知らずの間に洗脳?調教?され、男よりも緋紗子に想いを寄せていく悦子。
悦子をレズビアンへの道に導くために、わざと悦子が男に対して嫌悪感を抱かせるように仕向けたりし、女の良さを分からせようとしていた緋紗子。
悦子も緋紗子に対しての想いが恋心ではないか、と感じ始め戸惑う。
そんな中、緋紗子に会いたくなった悦子は、緋紗子の家に出向く。
そこで、見知らぬ少女と緋紗子が一緒にいる所に出くわす。
悦子の噂を聞かされていた少女は、緋紗子は悦子に女の良さを分からせるために、いろいろなことを仕向け、男に嫌気がさすように水商売をさせ、悦子をいずれペットにする気でいる、だから私は浮気相手。とバラしてしまう。
男には売女と言われ、愛している緋紗子には浮気相手がいて…
純粋だった短大時代を取り戻すためには、汚れを排除するしかないと、悦子は…。
新しい世界観で新鮮でした。
読み終わった時、なんとも言えない苦い感情が纏わり付いてきます。
この話で印象的だったのは、緋紗子は最後までとても言葉使いも丁寧で上品な振る舞いをする人物像なのですが、その裏に悦子をペットのように扱い、悦子を自分の思い通りに支配しようとする裏の顔が底が知れない感じがして、実際にこんな人がいたら本当に怖いな、と率直に思いました。
そこがこのお話ではいいんでしょうけどね。^^;
・羽田発18時
厳しくも思いやりのある広報室長、村重(51)に密かに想いを寄せる合田葉子(30)は村重が転勤になるかもしれないことを知る。
東京に戻ってしまうかもしれない村重に、葉子は寂しさと焦りを感じ始める。
一方、23歳の後輩である佐山絵里加は、ウマが合わない村重が転勤になることを喜んでいた。
葉子はカトリック系の女子校に通っていた時に神父さまに抱いていた尊敬の想いを、村重にも抱いていた。
葉子は勇気を振り絞り、村重に声をかけ、食事に行く仲へと発展。
葉子に特別な視線を浴びせることのなかった村重だったが、何回目かの食事の後、転勤が間近となったのも手伝い、2人は身体の関係を結んでしまう。
その後、村重は東京へ。
葉子は広報室の編集者へと抜擢された。
絵里加を含む、女4人で形成された葉子のチームは順調に成果を上げていた。そんな中、絵里加がお見合いからの結婚で退職をすることに…。
新しい後輩を迎え、慌ただしく過ぎていく月日のなか、葉子は村重に会いに東京へ行くことに。
胸を躍らせて東京に来た葉子だったが、村重と食事は叶うも、仕事が忙しいと、村重との逢瀬は叶わなかった…
落胆する葉子。そこへ結婚退職した佐山絵里加から電話が来て…
この後、まさかの展開に。
あらすじ説明初めて書きましたが
文章力の無さを痛感致しました…泣
難しいですな!
羽田発18時の葉子のお話は、なんだかある意味自分も気を付けよう…と思えるようなお話しでした。^^;
変な意味では無くて、利用される。という意味で…
私のあらすじでは、分からないので読めばわかります。笑
他のお話しもよかったのですが、特にこの2作が印象的でした。
小説はいろんな世界が体感できてよいですね。
長文m(._.)m
それでは。